「専業主婦は無職」と同等として扱われることがあります。
無職は言い過ぎだとしても、主婦だったひとが仕事を始めたときの評価は現実よりも低くなることがあります。
専業主婦は実際には家事や育児、家庭のマネジメントといった重要な役割を担っています。それでも、社会復帰を考えたとき、主婦は時に偏見や不平等に直面することがあります。専業主婦としてのブランクがマイナスに捉えられることや、キャリアの再スタートでの待遇差など、現実的な障害は少なくありません。
この記事では、専業主婦が社会復帰するときに遭遇する偏見や不平等な状況にどのように向き合い、心構えを持つべきかについて考えてみたいと思います。キャリア再開を目指す女性たちが自信を持って歩み出せるよう、具体的な対策も紹介します。
「専業主婦は無職」という社会の偏見とは?
専業主婦としての役割は、家庭を維持するために欠かせないものです。しかし、一部の社会では「収入がない=無職」という誤解が根強く残っています。特に再就職や転職活動の際に、専業主婦として過ごした時間はブランク期間であり、「何もしていなかった」と見なされてしまうことがあります。
家事・育児スキルの軽視
家庭の運営には、時間管理や経済管理、コミュニケーションスキルなど多くのスキルが必要です。それにもかかわらず、こうしたスキルが職場での経験と同等に評価されないことは多いです。
私の場合は離婚していますので、「家庭の運営」という意味ではスキルを発揮できなったともいえますが(笑)、主婦として培ってきたスキルは他にもたくさんありますので、それらが評価されないことは残念だと思います。
子育てや家事で培ったマルチタスク能力やストレスマネジメントスキルは、多くの職場でも応用できるものだと思いますが、企業の採用担当者からは「業務経験がない」と見なされてしまうこともあります。
【参考リンク】
このあたりの「社会復帰」についての私の考え方は下記の記事で記載していますので、ご興味があればご覧いただければと思います。
▶︎専業主婦からの社会復帰 40代で年収をアップさせた5つのステップと実際の行動
実際の私が社会復帰のためにアルバイトを始めたときの出来事
実際、私が専業主婦からアルバイトを始めたとき、私は社会復帰として仕事に慣れることから始めて、スキルアップすることを考えていましたが、「雑用をしてください」「週に来られる日を増やしてほしいけど雑務全般を任せたい」と言われました。
「スキルアップを考えてアルバイトを始めたので、雑務のために時間を増やすことはしたくない」と正直にお伝えしたところ、鼻で笑われました。実際に、「はぁ〜(苦笑い)」という反応でした。
そして私が「雑務のために勤務時間を増やすことはしたくありません」とお伝えしたことで担当者のご機嫌を損ね、それから数ヶ月後に遠回しに仕事をやめてほしいという意味合いのことを伝えられました。
会社と私の利害が一致しないのは仕方のないことなので、丁寧にご挨拶してそのバイト先はやめました。やめるタイミングまでに派遣社員としての次の仕事が決まっていたので、困ることはありませんでしたし、後悔もまったくなく、嫌な思いはしたものの、むしろうまく辞めることができて良かったなと思っていました。
その後、派遣先で仕事をある程度認めていただけたのか、働ける時間を増やしてほしいとご要望をいただいて、子供たちの様子を見ながら勤務時間を少しずつ長くしていたときに、やめたバイト先の担当者から連絡が来ました。
「戻ってきてもらえないか」という打診でした。
今すでに派遣社員として仕事をしており、少しずつ勤務時間を伸ばしているところなので、複数の勤務をすることが難しいとお伝えすると「へーそうですか、ご活躍なんですね」というご連絡いただきました。
それに対しても、ご要望にそえずに申し訳ない旨に返事を送りましたが、その後はなんの連絡もなく、やっとご縁を切ることができました。
ブランク期間への懸念
また、専業主婦としてのブランク期間が「キャリアを中断した」と捉えられることもあります。特にITや最新の技術が求められる分野では、技術のアップデートについていけていないと見なされる場合があります。
「ブランクがあるため、すぐに仕事に適応できないのでは?」と不安視されることが、採用面接でのネガティブ要因となることがよくあるそうです。
これについては、家庭に入ってしまうと業界動向を追いづらくなるのはある程度仕方ないとは思います。ただ、取り残されたくないという思いがあれば、ネットでいろいろな情報は検索できますし、子供が寝たあとに毎日30分勉強の時間をとるだけでもフォローできる部分があると思っています。
主婦が社会復帰する際に直面する不平等
専業主婦が社会復帰を目指す際、求人市場や職場内での待遇においても不平等に直面することがあります。これは主に、キャリアの再スタートを切る上での立場の弱さや、女性特有のライフイベントに関連したものです。
パートや非正規雇用が多い現実
社会復帰を果たすために、最初に応募する仕事が非正規雇用やパートタイムであるケースが多いです。これは、正社員採用に対するハードルが高いというのがひとつの理由です。
また、私のように、少しずつ慣らすためにまずは短い時間のアルバイトから始めるという方も多いのではないかと思います。そして、お子さんの年齢や、ママの仕事に家族がどれくらい協力的であるかによって、フルタイム勤務に移行していくことが難しい場合もあります。
残念ながら、非正規雇用の待遇は正社員に比べて低く、キャリアアップが難しいのが現実ですので、その後のキャリアアップも難しくなります。上で書いた私の過去のバイト先が典型的な例といえるかもしれません。
女性特有のライフイベントと働き方の制約
さらに、育児や介護など女性が担うことの多いライフイベントによって、再度仕事を中断せざるを得ないケースも考えられます。職場によっては、こうした制約を理由に責任ある仕事を任されにくくなることもあり、不平等な状況が生まれてしまうこともあると思います。
面接時に「今後、家族の事情で仕事をまた辞める可能性があるのでは?」と問われ、重要な役職への登用をためらわれることがあるという話も聞きます。
私自身、正社員としての転職時に、両親の介護が必要になる可能性について確認されました。少し気になる質問だなと思ったものの、企業として、せっかく採用した社員が介護を理由に業務を制限することになるのが不本意なのは当たり前だと思っています。
女性は人生のうちで、妊娠や出産、子育てや介護等家のことを優先するために、仕事を制限する期間が生まれる可能性が高くなります。だからといって、一概に「能力が低い」と判断されるものではないと個人的には思います。
家庭に入り、社会経験が減り、企業で働く時間が少なくなることによって、結果的に働くために必要な能力が男性よりも低くなるというのは、場合によってはあるでしょう。
これは性差ではなく、経験値が少なくなることによる差ですので、性別だけの問題とすることはできません。
ただ、能力的にはとても優秀な女性はたくさんいらっしゃいますので、イメージや偏見で評価を低く見積もってしまうことは、働くママにとっても、雇用する企業にとっても、マイナスでしかないのではないかと思います。
主婦が偏見や不平等に立ち向かうための心構え
専業主婦が社会復帰を果たすためには、こうした偏見や不平等に負けず、自分の価値をアピールすることが重要です。次に、復帰の際に役立つ具体的な心構えや行動を紹介します。
自分の経験とスキルを棚卸しし、アピールする
専業主婦としての経験は決して無価値ではありません。家事や育児を通じて培ったスキルを棚卸しし、それをどう職場で活かせるかを明確にしましょう。例えば、家計管理を行っていた経験は、経理業務やデータ分析に応用できる可能性があります。
面接時や履歴書に「家庭運営で培ったスキル」を具体的に記載することで、仕事にどう貢献できるかを示すようにします。「育児経験を通じて学んだストレス管理や時間管理能力」をアピールすることも有効です。
ただし、単純に「家計管理をしてきているので経理の能力があります!」と言われても、「いや、家計と企業の経理は全然違うものだし、業務にあたって気をつけることなども違うでしょ」と思われてしまうと思います。
家事や子育ての中で自分が成し遂げてきたことが、その企業のどんな仕事に貢献できるのかについて、論理的に説明できることが必要になるのではないでしょうか。
その際に示したスキルの内容だけではなく、どんな活動とどんな業務をどういう考え方で紐づけて、自分の能力をアピールしているのかなどが、評価の対象となるのではないかと思います。
客観的に自分の能力を分析した上で、その企業の業務の中でどのように活かしていけるのかを、担当者に理解できるように伝える力が問われているのではないでしょうか。
スキルアップのための学びを始める
社会復帰の準備として、最新のスキルを身につけることも重要です。特に、長期間のブランクがある場合は、オンラインコースや資格取得を通じて、自分の能力をアップデートすることもできると思います。
こうすることで、普段家庭の中で考えることとは違った、社会での業務に関わるスキルの確認ができますし、資格などがあることで復帰時に即戦力として認められる可能性が高まります。
オンラインで手軽に学べるプラットフォームもありますので、ExcelやWordなどの基本的なPCスキルや、専門職に必要なスキルを学ぶことから始めてみまても良いのではないでしょうか。
また、自己啓発やビジネス書を読んで最新の業界動向にキャッチアップするのも有効です。
ちなみに自己啓発本やビジネス本の内容は、子育てにも活用可能なものがたくさんありますので、社会復帰を考えていない方にとっても参考になるのではないかと思います。
自分を信じ、他人の評価に左右されない強いマインドを持つ
偏見や不平等に直面したとき、最も大切なのは自分自身を信じることです。
といわれても、実際は難しいですよね。主婦として家事や育児をがんばってきたところから、家庭以外の社会に出たときに、自分がちゃんとやれているのか、迷惑をかけていないのかなど、自信が持てない気持ちになるのは当たり前だと思います。
それでも、社会的な偏見に左右されるのではなく、自分の価値と能力を信じて行動することが成功への鍵となります。他人の否定的な意見に振り回されず、自信を持って前進しましょう。
社会復帰して仕事を始めたときに、うまくできないことがあっても仕方ないと思います。どうしても難しい場合は、別の職場に変えてみることを考えても良いのではないでしょうか。
職場を変えても同じようにうまくいかない部分があるのであれば、それは自分に不足があるのかもしれませんので、周りの方に意見を出していただいて、少しずつでも改善していけると良いと思います。
自分は評価されていないとか、周りのひとは信頼できない、という気持ちで仕事をしても、なかなかうまくいきません。指摘してもらったことは受け入れて、協力関係をつくっていくことで、改善していける部分があるかもしれません。
成功した主婦の再就職やキャリアアップの実例を調べ、自分も同様に挑戦できると認識することがモチベーションアップにつながる場合もあります。
また、自分の努力をしっかりと評価し、小さな成功体験を積み重ね、自己肯定感を育てることで、周りからの指摘や意見を受け止めやすくなることもあると思います。
実際に社会復帰した主婦たちの成功例
ここでは、専業主婦として過ごした後に社会復帰し、成功を収めた実例をいくつかご紹介します。
パートから正社員へキャリアアップしたAさん
Aさん(45歳)は、子育てが一段落した後、パートタイムで事務の仕事を始めました。彼女はその職場でExcelやデータ分析のスキルを磨き、社内の信頼を得て正社員として昇進しました。
趣味を活かしてフリーランスに転身したBさん
Bさん(40歳)は、家事の合間に学んでいたデザインスキルを活かし、フリーランスとして活動を始めました。最初は小さな仕事から始めましたが、SNSを活用して顧客を増やし、現在では個人事業主として成功を収めています。
まとめ
専業主婦として過ごしてきた時間は、決して無駄ではありません。それどころか、その間に培ったスキルや経験は、社会に出てからも十分に活かせる貴重な資産です。
社会復帰を目指す際には、偏見や不平等に負けず、自分の価値をしっかりと見つめ直し、心構えを持って前進することが大切です。
あなたが努力や自信とともに全身し、専業主婦としてのスキルを実際に社会の中で活かしたという事例が、同じような境遇の主婦たちの未来をサポートすることにもつながります。
戦うのではなく、いろいろな経験値を持つ人間同士として尊重しあって、多様な人がそれぞれの得意分野で活躍していける社会になると良いですね。
【関連リンク】
主婦の社会復帰に関して、下記の記事も参考にしていただけると良いかと思います。