「老後2000万円問題」という言葉を耳にする機会が増えました。
(最近ではインフレ率を考慮すると2000万円以上とも言われていますが…。)
夫婦で老後を迎える際、年金だけでは生活費が足りず、約2000万円の資金が必要だと言われています。
では、シンママ(シングルマザー)やひとり親、独身の方の場合、この2000万円問題はどのように考えれば良いのでしょうか? この記事では、老後資金にまつわるシンママ向けの計算や対策を、できるだけシンプルに説明していきます。
そもそも老後2000万円問題とは?
まず、「老後2000万円問題」が何かについて簡単に説明します。
金融庁が2019年に発表した報告書によると、夫婦の平均的な生活費は月額約26万円と言われています。
しかし、夫婦2人が受け取る公的年金の平均月額は約21万円。つまり、毎月5万円が不足することになります。これを30年間(65歳~95歳)で計算すると、約2000万円の不足が生じるという試算です。
実際には住んでいる場所や物価、持ち家なのか賃貸なのかなどによって違いが出ますが、平均的な話として出されている情報です。
シングルの場合、必要な老後資金はいくら?
夫婦の場合が2000万円なら、シングルマザーなど独身の場合はどのように計算すれば良いのか、金額例をあげて考えてみたいと思います。
生活費 子供が独立して一人暮らし想定の老後の生活費
シンママ(シングルマザー)や独身の場合、生活費は夫婦の約7割程度を想定することが多いようです。仮に月の生活費を18万円を想定します。夫婦よりも少ないとはいえ、家賃や食費、光熱費などの基本的な出費は必要です。
シンママ想定といってもこれは、子供が独立して一人暮らしになっていることを仮定していますので、お子さんと一緒に住んでいて家にお金を入れてもらっているなどあれば違ってくるかと思います。
年金額 夫婦ではなくひとりが受け取る年金額
シングルの場合、年金は自分一人分です。厚生労働省のデータによると、女性の公的年金受給額は平均で月約8〜10万円。つまり、毎月の年金だけでは、月8〜10万円が不足する計算になります。
ここでは、対策を厚めにすると考えて、年金額が月に8万円で、生活費が10万円足りないと想定して考えていきたいと思います。
年金額はねんきん定期便などで確認ができますので、まず、ご自身が受給できる想定の年金額を計算してみると良いかと思います。
不足額の計算 年金だけだと不足する金額はこれくらい
月10万円の不足がある場合、これを老後の30年間(65歳~95歳)で計算すると、以下のようになります。現在では人生100年時代と言われていますので、100歳まで生きることを想定しても良いのですが、ここでは95歳までとします。
- 10万円 × 12ヶ月 × 30年 = 約3600万円
シングルや独身の場合、老後に必要な資金は約3600万円という計算になりました…。夫婦の2000万円を超える金額になります。
夫婦で収入を得ていく場合よりも、シングルで収入を得ていく場合のほうが、入ってくる額は当然小さくなりますので、早めの対策を考えていく必要がありそうです。
シングルマザーが取るべき対策
シングルで子育てをしながら老後資金を準備するのは、経済的に大変かもしれません。しかし、少しずつでも計画的に進めていくことが大切です。ここでは、シンママ(シングルマザー)が老後に備えるための具体的な対策をご紹介します。
今からできる貯蓄を考える 自分はどれくらいなら可能か
毎月少額でも、今から老後資金の貯蓄を始めることが大切です。たとえば、毎月2万円を貯めると、年間24万円。これを20年間続けると480万円の貯金ができます。
15年以上の時間が見込めるのであれば、投資信託で積立投資をしたとしても、統計的にマイナスになる可能性は低いというデータがありますので、投資してさらに増やすことを考えても良いかもしれません。
- 目標: 毎月少しずつ貯蓄を増やし、積み立てを習慣化しましょう。
NISAやiDeCoを活用して資産運用 節税しながら増やすことを検討
節税効果のある「NISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」を活用するのもおすすめです。特に、iDeCoは掛け金が全額所得控除の対象となり、節税しながら老後資金を積み立てることができます。NISAは非課税で投資ができるので、運用益が出た場合の利益を大きくすることが可能です。
上であげた、20年で480万円貯める例を、長期投資で積み立てていくとして試算みましょう。
毎月の積立額 2万円
投資期間 20年
想定利回り(年率)5%
として試算した場合を見てみましょう。
下の図のみどりの部分が単純に貯金をした場合です。月に2万円ずつ加算されるだけなので直線的に増えていることがわかります。
きいろの部分は、年に5%のペースで成長するような投資信託に毎月積み立てた場合に複利の力で増えた部分です。
単純に貯金した場合 480万円
年率5%で資産運用した場合 822万円
ただ貯めるだけでなく、投資で増やすことを組み合わせた場合は342万円プラスになるという試算結果です。
もちろん、実際には上がり下がりを繰り返すことにはなりますので、短い期間で見るとマイナスになることもありますから、長い期間を想定しておくことが重要です。
世界人口が拡大していくのに合わせて世界の経済も成長していくと言われていますので、世界経済に連動した投資信託に長期投資すれば上記の試算に近い結果を出せるのではないでしょうか。
無理のないライフプランを立てる 未来を見据えて計画を
シングルマザーの家庭では、子育てや教育費など、目の前の支出が大きいかもしれません。しかし、将来的なライフプランを考えることで、無理のない範囲で貯蓄や投資ができるようになります。
将来の支出や収入を見通して計画を立てることで、必要な貯蓄額がはっきりします。今という時間も楽しんでいけるよう、無理のない範囲で将来に備えていけると良いですね。
- 目標: 将来の生活費や教育費を考慮し、長期的な資金計画を作成する。
副業やキャリアアップで収入を増やす
現在の収入に余裕がない場合、副業やキャリアアップも老後資金準備の選択肢になります。シングルマザーには時間的な制約が多いかもしれませんが、オンラインでできる副業や短時間で稼げる仕事を探すことで、少しずつ収入を増やすことが可能です。
せどりや動画で少しずつ収入をアップさせていくという話はよく聞きますし、自分が得意なものづくりなどで作品を販売して収入につなげていくという方法もあります。
- 目標: 自分に合った副業やスキルアップを目指し、収入源を多様化する。
シンママが実際に資産運用した結果は?
「老後2000万円問題」は夫婦向けの試算ですが、シンママ(シングルマザー)や独身の方の場合は約3600万円が必要になる試算結果となりました。
少しでも早いうちから計画的に貯蓄や資産運用を始めて、無理のない範囲で少しずつ準備を進め、老後に向けた安心感を育んでいきたいですね。
シングルでの生活は大変なことも多いですが、前向きに考え、今できることを積み重ね、自分の力でより良い未来に向かっていくしかないと思っています。
シンママで3人の子持ちである私の資産運用
私(シンママで3人の子供がいます)の場合は、以前から年に一度資産などを見直して合計額を出し、それらが年々どれくらいのペースで成長するのかを観察してきました。
そこから、子供たちの学校など直近数年で必要になるであろう金額は口座に残して(給与で入ってきて余剰で貯められるなら良いですし、余剰がないなら投資に回さずに貯金しておくなど)、すぐには使わない余剰資金を投資に回しています。
具体的には、確定拠出年金やNISAを活用して少しずつ資産運用を行なっています。コロナ以前から積立投資をしていたので、コロナの時期には大きなマイナスになりましたが、その間もひたすら積立を継続することで、現在その当時に投資した分はしっかりプラスになっています。
個人的には、気をつけるのは下記あたりだと思っています。
- 投資をするなら15年以上の長期を想定
- 選ぶ投資商品はリスクと成長率を考えて自分に合ったものを
- 生活防衛資金を準備して無理のない範囲で
- 投資期間中に下がることがあっても淡々と積立を継続
子供たちについては、2023年までは「ジュニアNISA」という制度があり、当時口座で購入した投資信託については、子供本人が成人するまでの間、非課税で運用できます。
また、子供が成長して18歳になるとNISAが使えるようになりますので、子供のお年玉などをただ貯金しているだけの場合は、それらをインデックス投資に回すことを検討しても良いかもしれません。