日本では、働く女性の増加とともに、子育て支援の重要性が年々高まっています。特に、シングルマザーにとって、仕事と育児の両立は大きな課題です。
その中で、企業内保育園が注目されており、働く親が安心して仕事に集中できる環境を提供する取り組みが増えつつあります。しかし、実際にはどれほどの企業が企業内保育園を設置しているのでしょうか?
この記事では、企業内保育園の現状と、シングルマザーがより働きやすい未来に向けた課題について探ります。
企業内保育園とは
企業内保育園とは、従業員の子どもを預かるために企業が自社の施設内、または近隣に設置した保育施設のことです。この取り組みによって、親は仕事中に子どもを預け、通勤の負担を減らしながら安心して働くことができます。
保育園不足という問題と、少子化による企業の人材不足というふたつの問題を解決する策として注目されており、子供を持つ家庭が育児と仕事を両立できるようにするための手助けとなります。
これまでは、妊娠・出産で女性は仕事を休まなくてはならない期間がどうしても長くなっていましたが、企業内保育園が設置されることにより、小さい子供がいる女性でも安心して働ける環境が整っていくといえます。
企業内保育園を設置している企業の割合
2019年の東京商工リサーチのアンケート調査によると、事業所内保育所を設置しているのは、全体の1.6%だけでした。98.4%が未設置という結果です。
ただし、事業所内保育所は未設置であるものの、民間の保育所・託児所と連携しているという回答が0.9%ほどあったようです。
大企業での導入は進んでいるものの、中小企業ではコストやスペースの問題から導入が難しいケースも多く見られます。
アンケート結果でも、設置していない理由の6割が、人材不足とランニングコストの問題と回答しているようですので、政府の保育料無料に向けた取り組みとともに解決を進めてほしいところです。
企業内保育園の現状と課題 設置が進まない理由
企業内保育園は利用する親にとってはとてもありがたく、利点が多い一方で、企業側での設置が進まない理由がいくつかあります。
- 設置コストの問題 保育施設の設置には多額の初期投資が必要です。設備や人員の確保、運営費など、企業が単独で負担するのは大きなハードルとなっています。
- スペースの確保 特に都市部では、限られたオフィススペースの中で保育園を設置する場所を確保するのが難しい場合があります。
- 運営に関わる法的規制 保育園を運営するためには、様々な法的規制や安全基準を満たす必要があり、これが企業にとっての負担になることもあります。
企業内保育所の種類
通常の保育園でも、認可保育園と認可外保育園というのを耳にすることがあります。企業内保育所の場合もそれと同じように種類があり、さらに「企業主導型保育所」という新しい種類が存在します。
認可保育所
許可保育所とは、児童福祉法で定められた基準をすべて満たす、自治体に認可された保育施設です。基準項目が定められており、自治体によってはさらに認定基準が設けられていることもあります。
開設にあたり、クリアしなくてはならない壁が多いものの、助成金などの制度が用意されています。基準を満たした保育環境を確保しているため、一定以上の安全性や信頼性があるといえます。
認可外保育所
上の認可保育所がすべての基準を満たしていることに対し、許可外保育所は、児童福祉法のすべての基準を満たせていない場合や、なんらかの理由によって自治体からの認可を受けていない保育施設を指します。
認可保育園のような基準を満たしていないといえますが、運営を行うことは可能です。ただし、助成金等の制度の対象にはなりません。
一般的な保育所でいうと、認可外保育所のほうが、多様化する保護者のニーズに応える・独自性がある保育環境を提供している場合もありますので、あえて認可外保育園を選ぶ人も多いようです。
企業主導型保育所
内閣府主導で行われている許可外保育所を指します。
企業主導型保育事業は、従業員の多様な働き方に応じた保育を提供する企業等を支援するとともに、待機児童対策に貢献することを目的として創設された国の事業です。
働き方に応じた多様で柔軟な保育サービスの提供を目標としていて、複数の企業が共同で設置することもできます。上の「認可外保育所」に近いようで、企業や従業員の働き方に合わせて保育環境の自由度は高いようです。保育施設の整備費及び運営費について国からの助成金もあるそうです。
まとめ
企業内保育園の設置は、シングルマザーを含む働く親にとって非常に大きな助けとなるものです。しかし、現状ではまだ設置が進んでいない企業も多く、さらなる支援や取り組みが必要です。
シングルマザーが安心して働ける環境を実現するためには、企業の積極的な取り組みや政府の支援、社会全体の理解と協力が欠かせません。
シングルマザーがより働きやすい未来を願って、今後も企業内保育園の普及や働き方改革が進むことを期待したいと思います。