ひとり親家庭の貧困問題|各種世帯の所得や貯蓄額についての統計データを見てみました

ひとり親家庭の貧困問題|各種世帯の所得や貯蓄額についての統計データを見てみました その他

日本では、母子家庭やひとり親家庭の生活は経済的に厳しい状況に置かれていることが多くの調査で明らかになっています。シングルマザーが家計を一人で支える負担、育児費用、教育費、そして生活費など、母子家庭が抱える課題は多岐にわたります。

この記事では、厚生労働省から出されている統計データを元に、母子家庭やひとり親家庭の家計の現実と、他の世帯との比較を通して、母子家庭の貯蓄状況について紐解いていきます。

今回見る統計データは、2021年度の数字をもとに2022年に出された「各種世帯の貯蓄額階級別・借入金額階級別世帯数の構成割合」という統計データです。いくつか表やグラフを流用して見ていきたいと思います。

1世帯当たり平均所得金額

まず、1世帯当たり平均所得金額を見てみたいと思います。

各種世帯の所得の種類別1世帯当たり平均所得金額及び構成割合

「全世帯の所得平均額」は545.7万円ほどで、「児童のいる世帯の所得平均額」は785.9万円でした。ここでいう「児童のいる世帯」の多くはご夫婦の世帯のため、片方の親の収入で家計に不足がある場合、夫と妻の二馬力で収入を得ることができる世帯が多いといえます。

「母子世帯」は306万円で、この金額には社会保障給付金や児童手当等が合計22.7%ほど含まれていますので、70万円弱が給付金や手当にあたります。つまり、母子家庭が年間で仕事から得ている収入は平均236万円となります。

「全世帯」よりも「児童のいる世帯」の所得平均額のほうが200万円以上多い中で、「母子世帯」は「児童のいる世帯」の半分以下の数字というのが、厳しい現実を表していると思います。

所得金額階級別世帯数の相対度数分布

所得金額階級別世帯数の相対度数分布

平均よりも実情に近い値が出るといわれている中央値でみると「全世帯の所得の中央値」は423万円と、平均である546万円よりも低い水準となっています。

さらに、世帯数の分布として一番多いのは、200〜300万円の世帯ですので、一部の高所得層が全体の数値を押し上げていることがわかります。

200〜300万円の層が多いということは、母子世帯の平均もあながちそう低いものではないと思える反面、母子世帯の平均の数字はあくまで平均であることから、実際にはさらに厳しい状況にある家庭が存在しているということです。

各種世帯の貯蓄額

各種世帯の貯蓄額

「貯蓄がない」という世帯は母子世帯では22.5%と、他の世帯と比べると10ポイント以上多く存在しています。

さらに、母子世帯の中で「貯蓄がある」という世帯でも、金額の分布は低めになっていますが、母子世帯で貯蓄が3000万円以上あるというご家庭も3.2%ほどは存在している点はポジティブに捉えられる点だと思います。

各種世帯の借入金

※世帯の項目は上の表のつづきです。
各種世帯の借入金

「借入金がある」が多いのは「児童のいる世帯」が一番多く、55.7%と、同じような世帯中の半分以上が借金をしている状態です。

上でも書いた通り、この層の多くはご夫婦と子供がいる世帯と思われますので、住宅を購入していたり、車を購入しているなどの、ローンがある状態ということだと思います。そのため、借入金の金額項目でも「2000〜3000万円」「3000万円以上」の金額が多くなっています。

母子世帯だと、借入金の金額は低めの水準が多くなっているものの、1000万円以上の借金がある母子世帯が全体の6.2%存在している点は気になるところです。

貧困率の年次推移

貧困率の年次推移

まず、相対的貧困率の最新の値は15.4%となっています。これは、約6.5人にひとりが貧困にあたるライン以下の生活をしていることになります。子供の貧困率は11.5%ですので、9人にひとり以上の割合です。学校の1クラスに30人の生徒がいるとしたら、そのうち数人は貧困に該当するという計算になり、現実として身近にある問題と捉える必要があります。

こちらの表では「母子世帯」という表現ではなく、「大人が一人世帯(つまりひとり親世帯)」となっていますので、ひとり親世帯というセグメントになっています。

貧困率が他と比べて圧倒的に高い水準になっているのが、ひとり親世帯であることがわかります。最新の2021年で44.5%と、前年までと比べると下がってきているのがせめてもの救いです。

「子供の貧困」という問題は社会全体で考えるべき大きな問題ですが、その多くはひとり親世帯に該当することがわかります。

子供のためにがんばりたい反面、子供のお世話があるために仕事がやりづらくなっている現実があると思います。

企業が保育園を併設するなどの話題も増えてきているので、ひとり親の方の働き方が改善されることで、貧困率が下がっていくことが期待されます。また、働くのが難しかった人たちが働きやすくなることで、社会全体も潤うことになりますので、大きなプラスの効果があるといえます。

まとめ

今回貼付した表やグラフはすべて、「各種世帯の貯蓄額階級別・借入金額階級別世帯数の構成割合」という統計データのものです。

収入額に関して、母子家庭やひとり親家庭の現実が厳しいことは、いろいろなデータからすでに明らかになっていることですが、今回見ていった中では、最後の貧困率が衝撃的でした。

いろいろ調べてはみたものの、グラフの読み解き方があっているのか不安な部分もあります。今後も機会を見つけて統計データなどを確認して、新しい情報などがあれば追記していければと思います。

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