ご夫婦で共働きのおうちの家計を「二馬力」と例えることがあります。そういう意味では、シンママ(シングルマザー)の場合は「一馬力」しかありません。
まずその一馬力を効率よく高める(つまり収入を増やす)ための努力は必要だと思いますが、同時に、無駄なことに出費をしないようにすることも大切です。
大人が自分しかいない、ひとり親家庭の場合、自分に何かあったときに子供たちが困らないように最大限の備えはしてあげたいと思います。そのために医療保険に入るという選択もあると思いますが、できれば不要な出費は避けたいもの。
「医療保険」については賛否両論あります。今回は医療保険がいらないと言われる理由についてまとめました。
医療保険が不要と言われる理由
医療保険が必要なのか不要なのかを考えるために、まず、そもそも任意の医療保険とは別で、国が保証している制度にどんなものがあるのかを知っておく必要があるかと思います。
医療保険が不要な理由1 高額療養費制度で一定額以上の医療費がかからない
高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)は、日本全国で利用できる公的な医療費負担軽減制度です。
1か月間にかかった医療費が自己負担限度額を超えた場合、超過分が払い戻される仕組みです。これにより、予期せぬ高額な医療費が発生しても、自己負担額が一定額に抑えられます。
上限額は、年齢や所得に応じて決まっています。以下は2024年時点での東京都に住む場合の上限額の目安です。
- 一般所得者(年収約370万~770万円の場合):80,100円+医療費の1%
- 低所得者(年収370万円以下の場合):57,600円
- 住民税非課税世帯:35,400円
たとえば、医療費が50万円かかったとしても、負担は上限額までで、それ以上の費用は高額療養費制度によりカバーされます。
さらに、過去12か月以内に3回以上、上限額に達した場合は、4回目から「多数回」という条件に該当となり、上限額が半分近くまで下がります。
詳しい情報は下記などにありますので、興味のある方は見てみると良いと思います。
医療保険が不要な理由2 自己負担額の少なさと医療費控除の恩恵
公的保険の適用を受けると、医療費の自己負担は3割程度に抑えられます。例えば、1万円の医療費がかかった場合、自己負担額は約3,000円です。
また、子どもに関しては自治体によっては、医療費が無料のことが多いと思います。(2024年東京の場合は無料です。)こうした状況では、わざわざ高額な医療保険に入る必要がないという判断もできると思います。
東京都に住んでいるお子さんが、もし旅行等で東京都外で医療機関を受診した場合、いったんは医療費の支払いが発生しますが、後日役所に申請することで還付してもらえたりもします。
子供の医療費に関する助成金等は自治体によって違いがあるので、お住まいの地域の自治体のWebサイトで調べてみることをおすすめします。
自己負担額の少なさに加え、年間の医療費が一定額を超える場合、確定申告で「医療費控除」を受けることができます。これにより、税金の一部が戻ってくるため、医療費負担が軽減されます。
気をつけたいのは、医療費控除は医療費が戻ってくるのではなく、一定額の医療費を払った場合に、「その医療費にかかる税金」が戻ってくるだけであることです。
医療保険が必要な場合 公的制度だけではカバーできないリスク
高額療養費制度や健康保険では、診療にかかる費用の一部を補助してくれますが、以下のような費用はカバーされません。これらを補えるように任意の医療保険に加入するという判断はあると思います。
差額ベッド代(個室料金など)
ケガや病気で入院することになり、入院中に個室や特別な病室を希望する場合、差額ベッド代が必要です。公的保険ではこの費用はカバーされず、個人負担となります。差額ベッド代は1日数千円から数万円と高額になることがあり、入院が長引くほど負担が大きくなります。
通院や入院中の生活費
長期入院や通院に伴う交通費、食事代、さらに家族のサポートが必要な場合はその費用も公的保険ではカバーされません。これらの負担を軽減するために、医療保険が役立ちます。
先進医療費
公的保険が適用されない最先端の医療(先進医療)を受けたい場合、その費用は全額自己負担です。例えば、がん治療などで使用される最新技術を受けたい場合に備えて、医療保険の「先進医療特約」があると安心です。
まとめ
判断はそのご家庭の状況などによって変わるとは思いますが、大雑把にまとめると、治療にかかるお金だけであれば、一定額以上にはならないので、医療保険の必要性はそんなにないように思います。
ただ、ひとり親の家庭で、一馬力として働いているひとがケガや病気になった場合には、収入が途絶えてしまうことになりますので、その費用をカバーするために医療保険に加入しておくという判断もあるかと思います。
また、医療保険の補償の中身や、特約などによっても変わると思いますので、医療保険に加入される場合には、その内容をしっかり確認しておく必要があります。
具体的にどうするかは、貯金がどれくらいで、どんな資産ををどれくらいもっているかにもよりますので、ご自身の状況に合わせて考えてみてもらえると良いと思います。
まずは日々の健康を保つための生活習慣の改善などを考えてみることも必要ですね…。
個人的に運動不足が気になっているので、ちょっと考えないといけないなと思います…。