全力で投資に入金! 生活防衛資金はいらないという人の考え方と危険な罠

全力で投資に入金! 生活防衛資金はいらないという人の考え方と危険な罠 投資などお金のこと

最近、「全額を投資に回し、生活防衛資金は持たない」という考え方を聞いたことはありませんか?

新NISAが始まった2024年から投資に興味を持つ人口は増えました。そんな中で、特にSNSやYouTubeで、投資で資産を増やすためには「全力投資が正解だ」とする意見も見かけます。しかし、こうした考え方には大きなリスクが潜んでいることも事実です。

この記事では、「全力で投資に入金し、生活防衛資金はいらない」と主張する人々の考え方を掘り下げ、なぜ一部の人々がこの方法を選ぶのか、そしてその背後にある危険な罠について考えていきたいと思います。最終的には、あなた自身の資産管理を考える上で大切なポイントが見えてくるのではないでしょうか。

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生活防衛資金は不要!「全力投資」派の考え方とは?

「全力投資」とは、毎月の収入や貯金をほとんどすべて投資に回し、生活防衛資金(非常時のために準備する現金)をあえて持たないという戦略です。これを主張する人々の基本的な考え方には、いくつかの共通したポイントがあります。

お金を「眠らせる」ことのリスク

全力投資派の主張の一つは、現金を手元に置いておいても、その価値はインフレや物価上昇によって減少してしまうので、自分のお金は市場にさらすべき」というものです。

現金をただ貯めているだけでは、お金は増えず、むしろ価値が下がるため、全額を株式や投資信託などに積極的に投資して資産を増やすべきだという考えです。

そのまま置いておくと価値が下がってしまうから、価値が下がらない方法を探した結果、投資すれば価値は下がらずに、長期的に上昇する、という主張です。

円安が続いたこともありますので、この考え方はあながち間違っているわけではないと思います。

市場は長期的には成長する

もう一つの根拠として、多くの全力投資派が信じているのは株式市場は長期的には成長する」という前提です。

短期的な株価の上下はあっても、長期的に見れば株価は上昇し続けるため、今投資した資産は将来的に増えていくと考えます。

確かに、長期で定額投資を積み立てて行うドルコスト平均法よりも、できるだけ早く投資にお金を入金したほうが、未来での資産がより増える、というデータもありますので、こちらについても間違いではないと思います。

金利の低さと借り入れの利用

さらに、現在の低金利環境も全力投資を後押ししている要因の一つです。金利が低いため、借り入れを行って投資に回す「レバレッジ投資」を行う人もいます。低金利で借金し、その資金を投資して利益を上げるという戦略です。

シングルマザーの家庭だと割合として少ないですが、子供がいる家庭の場合、住宅購入などで大きな借入をしているご家庭もあります。

住宅ローンの金利は低いので、もし現金をある程度持っている場合でも、住宅ローン分は借りて、現金を投資に回す、という考え方は私も耳にしたことがあります。

生活防衛資金を持たないことの危険な罠

「全力投資」の考え方には、確かにそうだと納得してしまう点や、一見魅力的な部分もあります。しかし、ここには見逃せない大きなリスクが潜んでいます。持っている資金の全額を投資に回すことで、どのような危険があるのかを見ていきましょう。

市場が予想外に下落した場合の危機

株式市場は長期的には成長するかもしれませんが、短期的な暴落や予想外の下落は避けられません。特にリーマンショックやコロナショックのような突発的な経済危機が起こると、多くの投資家が資産を大幅に失う可能性があります。

全力投資をしている場合、このような暴落時に生活費を捻出する手段がなくなってしまう恐れがあります。

実際に、私はコロナ前からドルコスト平均法で投資信託の積み立てを行なっていましたが、数年かけてゆっくりと含み益が増えていた投資信託が、いっきに大きな含み損をかかえて、証券口座の額が大きなマイナスになったときは心が折れそうでした…。

予期せぬ出費や生活費の急増

生活防衛資金がない場合、予期せぬ医療費、事故、家電の故障など急な出費に対応できなくなる可能性があります。いくら投資で資産が増えていても、現金が手元になければ、緊急時にはカードローンや借金に頼ることになり、逆に借金の利息が負担になることも考えられます。

実際に、急に現金が必要なった場合はクレジットカード会社から借入ができるので問題ないという意見がありました。ですが、借入の場合は利子が発生します。

投資でプラスになっている利率よりも、借金でマイナスになる利率のほうが少ないので問題ない、と考えることは間違いではありませんが、投資で資産が増えるスピードが落ちるといえますので、慎重に考えたほうが良いのではないかと思います。

レバレッジ投資のリスク

借り入れをしてまで投資に資金を投入するレバレッジ投資を行なっているという話も見かけました。主観ですが、長期投資思考の方よりも、全力投資派の方が、レバレッジ商品を好む傾向があるように感じました。

確かにレバレッジをかけると、利益が大きくなることは事実です。ですが、損失が出た場合にも倍増することを忘れてはいけません。

特に、株価が下落した場合、返済すべき金額が膨れ上がり、結果的に破産に追い込まれる危険性もあります。

本題から少しずれますが、FXなどレバレッジの大きい投資を行なっている場合に、世界情勢などで暴落が起きて、ロスカットが追いつかずに大きな借金を抱えたという事例も実際に聞いたことがあります。

(当時証券会社にお勤めで、電話対応をしていた方から実際に伺いましたが、ある日突然何千万単位での借金を負った事例などは、当事者の方も大混乱で本当に大変だったそうです。)

プロスペクト理論という、「損を回避したいという気持ちが強くなって合理的な判断をできなくする」という状態になり、投資しているはずが損を抱え続けてしまうという事例も見かけます。

生活防衛資金はいらないという人たちの意見

生活防衛資金の分まで投資に入金する人たちの意見として、必要になったときに現金化すれば問題ないというものがあります。確かに、投資信託で投資をしていた場合でも、数日で売却して現金化することは可能です。

ですが、過去の金融危機では30%、40%下落してしまうような事態が実際に起きていますので、もしも、現金が必要になったタイミングがそういうった時期と重なっていた場合に、かなりマイナスになった状態で損益を確定させることになります。

リーマンショックやコロナの時期に投資をしていた方だと、そういった場合の心理的ストレスも経験されている方が多いのではないかと思います。

まとめ

あまりおすすめはできませんが、個人的には、失敗してみるのも良い経験だと思っています。

実際に私は、過去に信用取引やFX投資も行なってみました。実際にやってみて、損を経験して、自分の投資スタイルとは合わないことを自覚できたので、今後一生やらないと決めています。

「生活防衛資金はいらない!持っているお金はすべて投資に回す」というスタイルが決して間違っているとは思いません。投資はご本人が納得して行うことが大切だと思いますし、それによって周りに迷惑をかけないのであれば問題ないと思います。

ただ、生活防衛資金を持たないことがどういうことなのか、どんな罠がかくれていて、どんなデメリットがあるのか、ということは理解しておいたほうが良いのではないかと考えています。

投資スタイルは人ぞれぞ。ご自身で納得できるやり方を選び、後悔なく進めるようにしっかり学んでいきたいですね。

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